マラソンを続けるにしたがって、脚の怪我や痛みに悩まされている人も多くいると思います。
走りたいのに走れない…ランナーにとってこれほどツラいことは無いですよね。
今回は整体院からの視点で伺う【マラソンのリスクと改善策】
特に多くのランナーが悩まされる[足底筋膜炎]の事を中心に伺いました。
ランニング、特にマラソンやクロスカントリーといったランニング競技やランニング愛好家の方でも、脚の怪我や痛みに悩まされている人も多くいると思います。
指標として1週間に64km以上走ることや、過去の下肢の怪我の既往歴があると下肢の怪我のリスクが上がることが報告されています(Gallo et al., 2012)
そして、ランニングから起因する怪我として、生体力学的なエラーを上げることができます。例えば、足のアーチや、筋力低下などがあります。(Lysholm J, Wiklander J.1987)
特に足のアーチの横アーチが崩れてしまった場合は、足底筋膜炎など重症化すると歩くだけでも踵や足底に強い痛みがでる怪我もあります。
1.スポーツにおける足底筋膜炎の症状
長時間の歩行や立ち仕事、または運動により、カカトの内側前方に痛みが出ることが多いです。
朝、起床の一歩目に痛みを強く感じ、歩くうちに痛みが軽減します。1日の終わりに活動量が増えるに従い、再び痛みが増してきます。
また、スポーツにおいてもランニングなどの運動開始直後は痛みを強く感じますが、ウォーミングアップを終えるころには徐々に痛みが軽減し、ランニングの距離が長くなると再び痛みが強くなります。
2.足底筋膜炎の病態
足底筋膜と呼ばれる足の裏にある強い組織の束とそれが付着する踵の骨の部位には、地面を蹴るときと着地するときに、とても大きな力が加わります。
通常であれば、足部の3つのアーチ(横アーチ、外側縦アーチ、内側縦アーチ)によって、脚に伝わる衝撃を和らげることができます。
ですが、このアーチがうまく機能しない場合には、衝撃をうまく逃がすことができずに足底筋膜から踵の骨に付着部に強い牽引力がかかることで、小さい傷、変性が起こることで痛みが生じるのです。
3.足底筋膜炎の原因
アキレス腱や足底筋膜炎のストレッチ、と共に足の指の動きを改善する必要があります。
横アーチや両側の縦アーチが崩れてしまうのは基本的に足の指が使えていない歩き方になった結果です。
踵の高い、先の細い靴を履いたり、体の重心が踵よりかつ内側の足に乗っている状態などです。多くは重心が原因で指が効率的に使えない状態になってしますのです。結果として、足趾の筋力は低下し、足のアーチを維持することができず足底筋膜と踵の骨の付着部にストレスをかけてしまうのです。
4.足底筋膜炎の対処法
足底筋膜炎だからと言って、すぐに足底版やインソールを使うことはあまりオススメはできません。
あくまで治療過程でのアシストとして使うのが良いかと思います。それはなぜかというと足の動きを取り戻すことに足の形は問題でないからです。
運動選手などが正常に可動できる上で、運動伝達効率などを高め、パフォーマンス向上のためのインソールや足底板であれば大いに使用するべきでしょう。
ただし、足の使い方がちゃんとしていない場合は、まずは適切な足の動きを取り戻すことが最初におこなわれるべきかと思います。
セルフで簡単にできる足趾のエクササイズとしては、タオルギャザーとカーフレイズです。
タオルギャザーは椅子などに座り、床に置いたタオルの端を足の指でたぐり寄せるように足の指を動かす運動です。15回を1セットとして、2-3セットくらいやるようにしましょう。
カーフレイズは立位または片足立ちで頭のてっぺんがまっすぐ天井に持ち上げられるようにつま先立ちになり、一番高いところで1−2秒静止し、ゆっくりと(←ここがポイント)重力に任せずにしっかりと動きを自分でコントロールしながら踵を下ろします。
20回を1セットとして、2-3セットほどするようにしましょう。
5.足底筋膜炎の予防法
ランニングをおこなった日は、お風呂でゆっくりふくらはぎから足趾までほぐすようにしましょう。特に足の裏の足の付け根をよく動かすようにしましょう。お湯の温かさとの相乗効果で血流が良くなり、ランニングで疲れた細胞にきちんと栄養や酸素を送り届けることができます。こうした日々のケアにより、ひざ下〜足に疲れを次のトレーニングまで残さないことが大切です。
5.マッサージやストレッチでも筋肉の緊張が取れない場合は、単純にランニングなどによる筋疲労だけでなく、ランニングフォームによる筋力のアンバランスさから、足部や下腿にストレスをかけているかもしれません。
参考文献
Gallo RA, Plakke M, Silvis ML. Common leg injuries of long-distance runners: anatomical and biomechanical approach. Sports Health. 2012;4(6):485-95.
Lysholm J, Wiklander J. Injuries in runners. Am J Sports Med. 1987;15:168-171.
痛みの出方、原因は人それぞれです。
特に痛みが強いとき、痛みが続くときなどは、
自己判断せず信頼できる接骨院や整骨院へ行くようにしましょう!
お答えいただいたのは ”まるお接骨院 柔整師 加藤 諒先生ならびに三田貴史様”
マラソンを長く楽しみたいからこそリスクと改善・予防策について知ることで、
1人でも多くのランナーの方が長く、楽しく、気持ちよく走り続けられますように。